日本で売れている投資信託の上位に 半分くらい毎月分配型(毎月決算型)の投資信託が 入っています。ですが 理論的には大変効率の悪い仕組みです。金融庁からは 経済的合理性もないと酷評。楽天証券の山崎元氏も 弊害も多いので廃止すべきだと)
少しでも儲かっていれば、解約時に総受取額は 必ず下記のようになります。
分配金総額+毎月分配型の < 分配しない型
(分配金を再投資しても 大小関係は変わりません)
確かに解約直前に暴落していたり どんどん値下がりしている場合は、毎月分配型の方がいいです(毎月自動定額解約サービスで もっと安い費用で同じリスクヘッジができます)。ですが、使う6-8年前に 全額安全な国債や定期預金等にしてしまえばいいのです。戦前の恐慌やリーマンショックでも だいたい5-7年で回復しています。どんどん値下がりするのなら 解約してしまえばいいのです。
毎月分配型は、
- 毎月の普通分配金から 20%強の税金を取られる。課税繰り延べ効果と複利効果を損なう
(元本払い戻し金は無税)
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- 2012年までの5年間の分配金の8割が元本払い戻しの 蛸足配当
(2016年は 大部分元本払い戻しだそうです。自分のお金を バカ高い販売手数料と 毎日運用報酬を日割りで引かれた後で戻って来て、何がいいのか?)
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- 毎月定額分配のために、資産単価の高い時は少なく 安い時は沢山、売り手数料を資産から引きながら 効率悪く無駄に処分している。儲けるためには 高い時に沢山、安い時は少なくか売らないのが当然。
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- 運用が複雑になるので 他のものに比べて運用報酬も高めになる(毎月分配型の販売手数料は3-4%、運用報酬は1.5-2%。インデックス型(ほとんど分配しない)は 同0%と0.5%程度。予測できない運用成績と違い、この差分は確実に悪化する。10年で13%以上確実に違ってくる)。また 毎月の振込み手数料も 微々たるものだがコストに入っている
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(自分で必要な分だけ 1-6ヶ月に一度程度 解約すればいいのだし(基準価額も下がりません)、下記のように 毎月一定額を 自動的に解約してくれる仕組みもあります。運用報酬の割高な 毎月分配型(決算型)の存在意義は ありません。
・SBI証券 投資信託定期売却サービス
・野村證券 定時受取サービス
・SMBC日興証券 定期引出サービス
・ありがとう投信(直販) ライフサポートサービス
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10年で確実に13%以上損する(100万円なら13万円以上)と 思えば、口座を新たに開設する手間をかけても 十分見合うと思います。ネットなら住んでいる場所は 関係ありませんし)
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- 毎月分配の為に、現金の比率を高めておく必要があり、全体の運用効率を確実に落とす。
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- (毎月分配型がなりやすい)基準価額が右肩下がりで、総資産残高が減少しているような投資信託は 特に注意です。まともな運用が 困難になり、損失をかかえたまま 繰上げ償還される(保有者が 一番損失をこうむる)可能性が 大変高くなります。
よく
投資金額 < (解約金額+分配金総合計)
ならば いいじゃんと言う論理を聞きます。同じような利回りの投資対象に投資して、儲かっていれば 分配しない方が たぶん1.2倍から1.5倍以上は 儲かってました。こちらが 損をしても、販売側と運用側は確実に儲かってます。
(業界平均で 運用報酬の半分くらいは、販売側にいっているそうです。と言う事は 運用報酬1.5%なら 運用側は0.75%しかもらえない事になります。これで まともな運用ができるのでしょうか?)
勿論 そんな遠い先の利益よりも、毎月入ってくるお金がうれしい方は 上記の毎月自動解約サービスを利用されれば いいのです。バカ高い販売手数料と運用報酬を 払う必要は全くありません。
毎月分配型は必ず損するわけでは ありませんし(トータルリターンがプラスなら 分配金を含めて 儲かってます)、中には高い販売手数料と運用報酬を払いながら、それを上回るような成績を上げている投資信託もあります。ですが、少数ですし 事前に予想も困難です。分配金余力も これから買う人には あまりいい指標では ありません。そもそも非常に効率が悪いです。
また 毎月分配型は 売れていたので、分配しない投資信託に存在しない 資産(アセット)クラスのものも あります。どうしても このようなものに投資したければ、効率の悪い毎月分配型を選ぶしか ありません。
(ちなみに こんなに毎月分配型の投資信託が売れているのは 日本だけの異常現象です。世界の毎月分配型の大部分が日本で売れているとか。アメリカでは 誤解を与えるとして 分配金に元本を含める事を 禁じてます。
通常の商品と違って 投資信託売れ筋ランキングなんてのも 全然当てにならず、だた売っている証券会社等の 営業力ランキングになっているのでしょう)
2016.03.9追記
金融庁のレポートより引用(P.65)
「• 分配金利回りのランキングを公表する等、分配金利回りの高い投資信託が運用成績
が良いとの誤解を与えかねない情報提供を行っている事例
• 運用内容が同じ投資信託において、年1~2回の決算分配型のものがあるにもかかわ
らず、経済合理性に欠ける毎月分配型による再投資を行わせている事例
等、商品特性を正しく伝えた上で顧客に選択をさせているとは言い難い事例が見られる。」